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Interview
Lapidem 大川久美子 宝通商 フッカデザイン

with Lapidem 005:大川久美子(宝通商株式会社/フッカデザイン)

「エネルギーに満ちたこの石と一緒に、旅をしているような気持ちです」

ラピデムトウキョウ スパ」では、トリートメント用具の1つとして、フィンランド発のプロダクトブランド「フッカデザイン」の製品を使用しています。

フッカデザインのプロダクトは、フィンランドの北カレリアン地方で採掘される「カレリアン・ソープストーン」という天然石から作られています。約28億年という気が遠くなるほどの時間をかけて生成されたこの石の特徴は、やわらかな質感と高い蓄熱性。お湯で温めてマッサージに使用すると、他の石には出せない優しい熱で身体と心をほぐしてくれるのです。

そんなフッカデザインの国内唯一の正規輸入代理店である宝通商株式会社で、製品の輸入やPR、プロデュースなどを一手に担っているのが、今回の主役の大川久美子さん。ひょんなことからフッカデザインと出会った大川さんは、まるで母親のような慈しみをもって、このブランドの魅力を広めています。


「このブランド、どうしよう……」からの出発

――今日はどうぞよろしくお願いいたします。まず、カレリアン・ソープストーンについて簡単に教えていただけますか?
フィンランドでは、暖炉に焚(く)べる石としてとてもポピュラーな石です。蓄熱性が高くて、ロミロミマッサージなどで使われる玄武岩の製品と比べると、手触りがやわらかくて、ゆっくりと長く熱を発しますね。

あと、 28億年前に誕生した石だからなのか、すごく大きなエネルギーを持っていると言いますか。手に持って10秒くらいたったらおなかのあたりがポカポカしてくるし、ラピデムの寺島さんのように優れたセラピストの手を通すと、石の中から燃えるようなエネルギーを感じます。

28億年前から存在するカレリアンソープストーン岩盤
※28億年前から存在するカレリアンソープストーンの岩盤


フッカデザイン(以下、フッカ)の製品は、暖炉用の石を切り出したときに出る端材で作られています。本国ではサウナ噴水などのサウナ用品をメインに販売していて、海外では食器やマッサージグッズなども展開しています。

――宝通商がフッカの製品を扱うようになったのはいつからなんですか?
5年前、友人に紹介されたある企業から「フッカの商品を販売したいから、国内の代理店をやってくれないか?」と頼まれたのがきっかけです。弊社はBtoBの輸入業をやっていて輸入代行のノウハウを持っているので、「面白そうだな」と軽い気持ちでお受けしたというのが正直なところです。

――熱い思いを持って始められたわけではなかったのですね。
はい(笑)。フィンランドのことにくわしいわけでもなかったし、会社はBtoCの商材を扱うノウハウがないし。最初の2年くらいは「このブランド、どうしよう……」って悩むことが多かったです。

“サウナの妖精”が幸運を運んできた

――そんな状況が変わったきっかけはありましたか?
そうですね……最初のきっかけは「トントゥ」だったかもしれません。

――トントゥとは?
ソープストーンでできているお人形です。当時は、かわいいなと思って展示スペースのオブジェとして飾っていたんですが、いろんな人から「売ってほしい」と言われて「そう言えば、これって何なんだろう」と調べてみたら、サウナの妖精だと。

フッカデザイン ポイントマッサージストーン トントゥ

さらに調べてみたら、フィンランドって一般家庭に必ずサウナ室があるくらいのサウナ大国なんです。日本人がお風呂好きな感覚と似ているなと面白く思って、フィンランドのサウナ文化を勉強し始めたら、入浴文化を研究しているライターさんやフィンランドの大使館関係者など、様々な方とのご縁を得ました。

追い風になったのが、2年半ほど前に日本に到来したサウナブームです。フィンランド政府観光局のサウナのプロモーションに、トントゥを含めたフッカの商品もご一緒させていただき、いろんな方に出会いました。そして、その中で、「フィンランドの文化ってすごく面白い」「フィンランドのプロダクトってこんなにいろんな広がりがあるんだ」と気づきました。

石が持つストーリーを伝え、可愛がってもらうという意識

――例えばどのような気づきがありましたか?
フィンランドはよく「世界一番幸せな国」って言われるんですけど、フィンランドのもの作りやデザインには、自分たちが自然によって生かされているという認識と感謝を強く感じます。日本で急に叫ばれるようになったSDGsも、フィンランド人にとっては昔から当たり前の考え方。フッカも、自然から得たインスピレーションでデザィンを行い、「孫の代まで大切に使えるものを」を商品コンセプトとしています。

フッカのプロダクトを通して、多くの日本人にフィンランドの文化やカレリアン・ソープストーンのことを知ってもらいたい。この石をいろんなところで可愛がってもらいたい。そのためにも、プロダクトが持つ”ストーリー”を伝えていこうという意識で取引先とやり取りをしていたら、商品のことをSNSで投稿してくださるお客様が増えたんです。

ソープストーンを扱って5年になりますけど、この石っていろんなことに気づかせてくれる石なんだなと最近わかってきました。放っておけばただの地味で寂しい石。だけど、「どうやったら可愛がってもらえるだろう」と愛情を注いだたら注いだだけ、その良さをみなさんがよくわかってくださる。

――素敵なエピソードですね。
何か商品を売ろうとするときって、たいてい買ってもらう人のターゲットを絞ると思うんですけど、フッカの商品って、思いもよらなかった方を引き寄せるのが面白くて。北欧系の商品を取り扱うショップや美容サロンはもちろん、サウナ、アウトドア施設、アパレル、宿泊施設、ミュージアム……。明日はどんな取引先と出会うかまったくわからない、みたいな(笑)。この石を通していろんな分野の方と出会えるのが本当に楽しいし、一緒に旅をしているような感覚です。

Lapidem 大川久美子 宝通商 フッカデザイン

――フッカに興味を持たれた方に、おすすめの商品はありますか?
カッサストーンはどなたでも使いやすいと思います。実は、私が本社にオーダーして作ってもらったものですが、最近はヨーロッパでもすごく売れてるらしいです。一般的なカッサよりも厚みがあるので、温めて、美容オイルを使ってマッサージするとすごく気持ちがいいです。

フッカデザインのカッサストーン
大川さんがオーダーして生まれたフッカデザインの代表作「カッサストーン」


――ちなみにどうやって温めればいいんですか?
ボウルに商品と沸騰したお湯を入れて10秒〜20秒つけるだけです。お湯から出したらすぐにお使いいただけますよ。

――他にはどのような商品がありますか?
いろいろあるんですけど…男性にはタンブラーやアイスキューブもおすすめです。冷蔵庫で冷やして使うと、長く冷たさを保ってくれます。

ウェルネスのアプローチでフッカのプロダクトを広げたい

――せっかくですので、フッカの商品を使用させていただいている「ラピデム トウキョウ スパ」の印象についてもうかがえますか?
プログラムや施術前後のおもてなしまで含めて、日本の季節や文化、精神性の素晴らしさを再確認させてもらえるサロンです。こんなサロンが海外にもあったらどんなに素敵だろうと思わずにはいられないような。フッカがご一緒させてもらえているのがとても嬉しいです。

Lapidem 大川久美子 宝通商 フッカデザイン

――ありがとうございます。
ラピデムのリチュアルにフッカの製品を使っていただいたことで、この石ってすごくフラットな存在なんだなと気付かされました。フィンランドの石ではあるけれど、いろんなシチュエーションや使い方に染まれるというか。日本の文化が取り入れられたスパブログラムをラピデムさんと開発して、フィンランドに逆輸入するようなイベントがあっても、すごく喜ばれるんじゃないかな。

Lapidem 大川久美子 宝通商 フッカデザイン

――最後に、読者のみなさんにメッセージがあればお伝えください。
これまではフィンランドやサウナという軸での展開が多かったですが、これからはラピデムさんもフォーカスされている「ウェルネス」の分野でのアプローチを考えています。 新型コロナウイルスの蔓延で気軽に外出できなくなって以来、インテリアやセルフケアといった自身の内側に目を向けられる方や、自然とコネクトできるようなプロダクトを求められる方が増えたように感じます。フッカの商品を通して自然の偉大さや恵みを感じ、人生を豊かにしていただけたらうれしいです。

Lapidem 大川久美子 宝通商 フッカデザイン

プロフィール

大川久美子(おおかわ・くみこ)

東京都出身。大学卒業後、大手保険会社や海外での勤務を経て、宝通商に入社。夫の転勤で社業から離れた時期は、子育てのかたわら、アロマテラピーのワークショップやフェアトレードでの輸入販売などに力を注いだ。日々の息抜きは愛犬との散歩やサウナ。2児の母。