
with Lapidem 013:勝山 八千代(イラストレーター)
IN DEEP LAPIDEM、今回のゲストは、イラストレーターの勝山八千代さん。
線と余白が生み出すのは、懐かしさと凛としたやさしさ。そして、日常の中にある小さな静けさと、思わず笑みがこぼれるユーモア。勝山さんの作品には、心を和らげ、心の流れを静かに整えてくれるような力があります。今月リニューアルした「ジャパン ウェルネス てぬぐい」のイラストを手がけていただいた勝山さんに、創作の背景や作品づくりの原点にある感覚について伺いました。

惹かれるのは、民藝や昔の手仕事の道具がもつ「素朴な美しさ」
——まずは、学生時代の経験など、今につながる原点をお聞かせいただけますか。イラストレーターを志されたのは、どのようなきっかけからだったのでしょうか?
学生時代に専門的に美術やデザインを学んだわけではありませんが、子供の頃からずっと絵を描くことが好きでした。
イラストレーターを志すというよりは、趣味として楽しみながら知人のギャラリーで展示をさせてもらったり、SNSに投稿したりしていました。そこから交友関係が増えていき徐々に仕事の依頼をいただけるようになりました。

——勝山さんのイラストには、モノクロームな世界の中に可愛らしさやユーモアが溢れていますよね。今のようなタッチやスタイルには、どのように辿り着かれたのでしょうか?
個人的には色彩センスが良い作家の絵が好きで憧れがありますが、色の塗り方やカラーの入稿データの作り方をよくわかっていなかったので、その知識がなくてもできる手法で描き始めました。
モノクロの作風で人気があるイラストレーターもたくさん活躍していましたし、可愛いけれどかっこよさもある作品が好きなのでその影響も強いと思います。

——線と余白で描かれる味わい深い手描きのイラストに、どこか懐かしさも覚えます。今の作品づくりに活かされている視点は、どのような土壌に根ざしていると思いますか?
友人の影響で民藝や昔の手仕事の道具といったものが好きになり、その素朴な美しさにとても惹かれました。
ホームセンターや雑貨屋にあるような工業製品の中にも、同じように感じるものが少なからずあります。そういったものから影響を受けて、それが味わいやどこか懐かしい感覚につながっているのかもしれません。

——勝山さんのイラストからは、描くという行為そのものが呼吸や所作に重なるような、静かな流れを感じます。その線には、どこか民藝や手しごと文化にも通じる「間合い」や「静けさ」が宿っているようにも思いました。描くときに大切にされている“リズム”や“流れ”、そして作品を通して表現されるそうした日本的な感覚について、普段どのように意識されているかお聞かせいただけますか?
私の場合、焦りや余裕がない状態で絵を描くのはとても難しいので、そうならないよう制作時間をきちんと確保したり睡眠時間や食事をしっかりとって、時間的にも精神的にもなるべく余裕を作るようにしています。
「ジャパン ウェルネス てぬぐい」のイラストについて
——Lapidemでは、香りや手ざわり、自然素材のもつ“目に見えない癒しの力”をとても大切にしています。今回の「ジャパンウェルネスてぬぐい」のイラスト制作においても、温もり、香り、間(ま)、所作など、言葉にしづらい感覚的な要素が多かったように思います。そうした“見えないもの”を表現するにあたって、特に意識された点や、大切にされた視点があれば教えてください。
見えないものは感じ取るものなのだと思うので、説明的になりすぎたり無理にイラストで表現しようとせずに、自分の感覚で心地良いと思える絵を描こうと意識はしました。

——Lapidemでも、「手に取ることが自分を整える行為になるようなプロダクトづくり」を心がけています。勝山さんの作品には、眺めたり、ふと目に入ったときに、心の流れを整えてくれるような力があると感じています。ご自身にとって、“日々の中でそっと寄り添う道具”としてのイラストには、どのような役割があるとお考えでしょうか?
気に入った絵を部屋に飾っていて、ふとした時に目に入ると、毎日過ごしているはずの空間が特別でとても心地よいものに感じます。イラストでもそれ以外の物でも、自分が心地よく感じたり、好きだと思える物を身につけたり飾ったりすることで、自分自身のことも好きになれるような気がします。

——日々の暮らし中で、心を整えるためのルーティンや、大切にされている時間はありますか?「描くこと」以外で、ご自身の感覚を調律している”儀式”のようなウェルネス習慣があれば教えてください。
自炊をすることが多いですが、できるだけバランスの良い食事をとることで心身の体調や生活習慣が整う感覚があります。銭湯やサウナに行くことも好きです。
今後の展望について
——もしLapidemと今後、また何かご一緒できるとしたら──たとえばどんな「日本の癒し」や「暮らしの美」をテーマにしてみたいと思われますか?また、描くことに限らず、いつか挑戦してみたい表現や素材、手法などがあればぜひお聞かせください。
またご一緒できたら私もとても嬉しいです。素敵な名前がついた日本の伝統的な美しい色を使って何か作ってみたいです。

——最後に、今後の展覧会や作品、個人的に温めているプロジェクトなど、なにか構想がありましたら教えてください。ますか?
来年1月に展示の予定があるのでそれに向けて準備をしています。毎年作っているカレンダーも発売予定です。地元や東京ではない今まで縁のなかった場所で作品を描いたり、新しい作品集を作りたいです。

勝山八千代(かつやま やちよ)
白・黒・茶の洗練された色調で、日常の静けさや道具・人物を丁寧かつユーモラスに描くイラストレーター。独学からスタートし、かたちや場にとらわれずに心が導くままに学びを重ね、繊細な線と余白の間に温度を宿すような魅力的な作風を生み出しています。現在は、雑誌・広告・アパレルやプロダクトなどのクライアントワークに加え、作品集の出版、個展やグループ展の開催など、多領域で活動されています。
2025/8/8にLapidemからリニューアル販売した「ジャパンウェルネス てぬぐい」のイラストを手がけていただきました。
公式webサイト:https://yachiyokatsuyama.com/
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/yachiyo1986/